中小企業診断士養成課程に働きながら通った筆者の1週間について

1.働きながら通える中小企業診断士登録養成課程のご紹介!

「企業の未来にワンポイント!」中小企業診断士・ドットプロジェクト代表の荒木です。
今回は、一般企業に勤めながら大阪経済大学の中小企業診断士登録養成課程を修了した筆者が、養成課程での1週間の過ごし方について紹介したいと思います。

中小企業診断士養成課程を検討されている方にとって、「働きながら通えるかどうか」はもっとも気になるところではないでしょうか。

まずは働きながら通える中小企業診断士養成課程・登録養成課程を紹介します。

中小企業診断士養成課程・登録養成課程は全国で14校(2024年10月現在)あり、そのうち10校が「働きながら通える」「仕事に配慮している」カリキュラムをPRしています。筆者が通っていた大阪経済大学もそのうちの一校です。

しかし、平日夜間、土日中心のカリキュラムであっても、企業勤めしながら通学していると精神的・体力的にタフな期間が訪れます。今回は筆者の1週間のスケジュールを振り返り、働きながら養成課程に通うイメージを思い浮かべていただければ幸いです。

2. 1週間のスケジュール(演習編)

大阪経済大学は、基本的に1週間に平日2日間、休日2日間授業が開講されていました。また、それぞれの科目では予習や課題が出されることが多く、授業がない日も自宅学習の必要がありました。

例えば、レポートの課題がある時もあれば、グループに分かれて成果物となるスライドを作って授業で発表を行うようなケースもありました。演習において最もきつい瞬間は、一週間のうちに別々の科目が4科目同時並行で行われていた時です。授業を行う先生方は、他の先生がどういう課題を出されているかなどは知りませんので、各々が自由に課題を設定されていて、それぞれの科目が重たい課題などを設定されていたときは大変でした。

睡眠時間よりも、業務時間よりも、養成課程の授業+予習+復習に費やす時間の方が長かった時は流石に体力面で堪えました。

■演習時のモデルスケジュール

3. 1週間のスケジュール(企業実習編)

また、養成課程では、グループで実際に企業提案活動を行う「企業実習」が準備されています。

大阪経済大学の場合、全部で5回実施されました。1グループは8人で編成され、3~4週間かけて1つの企業への提案内容を議論し合い、最後は企業の代表者に対してプレゼンテーションを行います。一度企業実習が始まると、寝ても覚めても提案先企業のことを考える日々が続きます。特に班長は、グループ討議のファシリテーション役を担う必要があるため、行きつく暇はありません。私が班長を務めた時のタイムテーブルを参考として以下の通り掲載します。

実習はどんなに日々の仕事が大変でも、不十分な内容の成果物では企業はもちろん、班の皆にも大きな迷惑をかけてしまいます。また、実習とはいえ、実際はこれも「仕事として捉えることが重要」です。私たちの提案がその企業の将来を大きく左右する可能性があるわけです。そのため決して生半可なものは出してはいけない、今の自分が提供できる全力を提供する、そういう気概が重要です。

実際、私も日々の仕事と並行しながら、実習を終えましたが、やはり乗り越えた分、この実習を通して得たものは非常に私にとって重要な経験となり、財産となり、今の私につながっています。

3.働きながら養成課程を卒業するための準備

いかがでしたでしょうか。働きながら養成課程に通う具体的なスケジュールを見ていただくと、「想像以上にきつそう」と感じられたのではないかと思います。平日夜間・土日祝中心で働きながら通うことはもちろん可能ですが、上記のようなスケジュールをこなすことができるかどうか、受験前に一度自問自答してみてください。
最後にわたしから、働きながら通う上で重要なことを3つお伝えします。

働きながら養成課程に通う上で重要なこと

1.家族の理解
2.会社の理解
3.絶対に諦めない強い決意

1.家族の理解

ご結婚されている方はご家族、特にパートナーへの同意は必須です。
大阪経済大学のカリキュラムだと土・日・祝日にほとんど家を空けることになります。平日も夜遅くなるため、否が応でもワンオペ状態になります。また、決して安くない授業料と膨大な時間を費やして、養成課程に通学する意味を理解してもらう必要があります。
私の場合、在学中は家事と5歳と2歳の息子の育児を妻に支えてもらいました。妻は結婚当初から「やりたいことを思いっきりやってほしい」と背中を押してくれるタイプだったため、気持ちよく養成課程に通学できていました。それでも、養成課程中盤以降、ワンオペ家事・育児の疲労が見られるようになり、大きな負担をかけてしまっていることに責任を感じました。
これから通学を考えている人は、「中小企業診断士になって叶えたい姿」をパートナーに共感してもらい、理解を得ておくことをおすすめします。そして、養成課程を卒業した暁には、家族への感謝とねぎらいを欠かさないようにしましょう。

2.会社の理解

企業にお勤めの方は、平日授業のために残業ができない、企業訪問時は会社を休む必要があるなど、制限が出てきます。養成課程に通学する前に職場への説明は欠かさないようにしましょう。
私の場合、実習が始まる約1か月前に上司へ希望の働き方を説明しました。
養成課程通学によって学びたいこと、実現したい目標を前もって伝えておくことで、業務調整を相談しやすくなりました。私は海外営業部に所属していたため、本来は頻繁に海外出張する必要がありました。しかし、上司の配慮で副担当を付けていただいたおかげで、何とか1年間働きながら通い続けることができました。もし、事前に話をしていなかったら…。考えるだけでぞっとします。

▼実際に筆者が利用した説明資料の一スライド▼

3.絶対にあきらめない強い決意

最後は精神論。きつくても絶対にあきらめない、「断固たる決意」を持ちましょう。
通学中はさまざまな場面でくじけそうになることがあります。同期生に対する劣等感、睡眠時間が取れないストレス、プロ講師からの容赦のないダメ出しなど、体力的、精神的に追い込まれることがあります。
ですが、そんな時はなぜ自分が養成課程を選んだか、を思い出してください。家族との時間、会社の業務の制約、多くのお金をつぎ込んでまで中小企業診断士になりたい理由、叶えたい大志があるはずです。働きながらの養成課程は間違いなく大変ではありますが、修了した時には、「大変だったけど頑張って良かった」そう必ず思えると私は自信を持って言えます。

夢の実現のために、絶対にあきらめない。この強い気持ちを持てる方は是非、養成課程を検討してみてください。

この記事を書いたコンサルタント

中小企業診断士

荒木 俊

2014年に関西学院大学経済学部を卒業後、新卒で株式会社クボタへ入社。国内・ASEAN市場で農業機械の製品企画とマーケティングを担当。2024年2月に大阪経済大学中小企業診断士養成課程を卒業し、中小企業診断士に登録。同年5月から大阪の中小製造業のアドバイザーに就任。経営コンサルと製造業を掛け持ちする「モノをつくる診断士」。得意分野は「交渉術」「コミュニケーションスキル」「国際化」など。

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