【実体験】中小企業診断士登録養成課程に働きながら通うことは厳しい?

こんにちは、一般社団法人Community Boost Consulting代表理事の長谷川祐介と申します。

さて今回は、私が実際に1年間通った大阪経済大学中小企業診断士登録養成課程(第5期)(以下、「大経大養成課程」といいます。)をモデルに、働きながら養成課程に通うことについてお話ししていきたいと思います。

中小企業診断士登録養成課程とは?

中小企業診断士養成課程とは、中小企業診断士資格取得のための1つのルートであり、中小企業庁が定める基準を満たした「演習」と「実習」を修了することで、2次試験と実務補習が免除され、中小企業診断士として登録できる制度です。

養成課程に働きながら通うために検討が必要な事項

私が通った大阪経済大学養成課程の場合は、基本的に授業が平日の夜と土日にあったため、働きながら通うことは可能でしたが、
それでも後述するように、仕事との両立は非常に大変でした。
また、仕事との両立はもちろんですが、養成課程に通う上では、考慮する点が多く、私自身の経験を通して、事前に理解しておくべき検討事項について大きく以下の4点を考えています。

養成課程に通うにあたって理解しておくべき検討事項

①仕事との両立
②家庭との両立
③経済的負担
④健康管理

①仕事との両立

1.会社への理解

私は普段、滋賀県に住んでおりまして、職場も同様であるため、大阪経済大学北浜キャンパスまで通うには、約1時間30分ほどかかります。
平日の18時30分から始まる講義に間に合わせるためには、少し仕事の終了時間を早めることが必要となりました。

また、養成課程では約1ヶ月かけての診断実習が計5回行われますが、実習中の1ヶ月間は毎週1回平日に実習先の会社に訪問するため、5回の実習全体を通して計16日間は、平日有休をとって出席する必要がありました。
(実習については、別記事「中小企業診断士登録養成課程の実習内容について卒業生が解説」をご参照ください。)

これらを考慮すると、職場の理解を得ることなしには、仕事との両立は難しいですので、養成課程を検討される場合は、入学前に、入念に職場と協議いただくことをお勧めします。

2.働きながら通える養成課程の選定

また、私が通った大阪経済大学の養成課程では平日夜と土日が基本となる開講日でしたので、公務員で平日フルで働いている私も通うことができましたが、
養成課程の各学校毎で開講スケジュールは変わってきますので、働きながら通いたい方は、事前に今の勤務形態で働きながら通えるかどうかをしっかり前提として検討しておくことが必要となります。

②家庭との両立

仕事の理解を得ることもさることながら、人によっては、家庭の理解を得る方が難しい方もいらっしゃるかもしれません。
週3〜4日(平日夜2日、休日日中1〜2日)通学し、家では課題のレポート作成等を、本業の仕事をしながら行うわけですから、家庭には迷惑をかけることになります。
特に、小さい子供がいらっしゃる受講生の中には、子供との距離ができてしまった等の声があがっていました。

家庭については、事前協議でどうこうなるものではないかもしれませんので、たまにあるお休みの日は全力で家族との時間に使い、家族サービスを念頭におきながら1年過ごすことが大切かと思います。

③経済的負担

また、もちろん養成課程ルートでは、2次試験ルートと比べて大きく費用がかかります。実際には私は1年間で以下の費用がかかりました。

私が養成課程で1年間にかかった費用

・(大阪経済大学)養成課程学費:200万円
・交通費:約15万円
・合計:約215万円

私は、公務員なので対象外でしたが、「専門実践教育訓練給付金」を活用できれば、約40万円国から支援を受けることができます。
しかし、それでも車が買えるくらいの費用が必要となりますので、家計との事前相談は必須です。

④健康管理

仕事と両立しながら週4回通学するとなると、健康管理はとても重要です。
養成課程を卒業する上で何より大事なのは出席率です。どれだけ良い成績を収めたとしても出席率90%の必須条件を満たせなければ卒業が認められません。
原則としてオンラインでの出席は認められていないため、病気で休みがちとなった場合は卒業できなくなる可能性があります。そのため、有休を活用し、戦略的に休養を取ることも重要となります。

養成課程通学中の一週間のスケジュール

私が実際に1年間大経大養成課程に通っていた時の1週間と1日の流れは以下の通りです。
実際にどのくらいの時間を養成課程に当てる必要があるのかをイメージいただければと思います。

<1週間のスケジュール>
月曜日 演習(18時30分~21時30分)
火曜日 自宅にてレポート+予習作業(約2〜4時間)
水曜日 演習(18時30分~21時30分)
木曜日 オフ
金曜日 自宅にてレポート+予習作業(約2〜4時間)
土曜日 演習(9時~17時45分)
日曜日 演習(9時~17時45分)

<平日(開講日)の1日のスケジュール>

授業外での作業ついて

養成課程では、講師の授業をひたすら聞き続けるような授業はほとんどなく、インプット→事例検討(グループワーク)→発表、その後、発表内容をレポート課題として作成というケースが多いです。
そのため、授業がない日でも、課題作成や授業での発表準備、授業の予習などで時間は取られてきます。

仕事の繁忙期と重なると、木・金に東京出張が入り、新幹線の中で、実習の宿題やレポート作成に勤しむこともありましたが、そのあたりは、溢れんばかりの情熱と根性で1年間乗り切りました。

まとめ

今回は、1年間働きながら中小企業診断士登録養成課程に通うという経験から、仕事との両立の厳しさをお伝えしました。最近、中小企業診断士が注目を集めている影響で、登録養成課程への入学は難しくなってきていますが、そこからの卒業もまた大変な挑戦となります。
ただ、私でやれたのですから、この記事を読んでいただいている熱心な読者の皆様には可能だと信じております。その過程で得る貴重な知識や経験、そして人脈は何物にも代え難いものです。

実際に、養成課程では、診断士二次試験対策で中心となる、読む・考える・書く能力に留まらず、ファシリテーション能力、傾聴能力、プレゼンテーション能力、ロジカルシンキング能力など、実際の実務に即した能力強化を図ることができます。
ぜひ、皆様も前向きな気持ちで養成課程への参加について検討してみてください。

この記事を書いたコンサルタント

中小企業診断士

長谷川祐介

大学院修了後、住友化学株式会社に入社。住友化学では、ファインケミカル製造工場のプロセスエンジニアとして新規製品製造プロセスの立ち上げ、既存プロセスの最適化により生産効率向上を行い、工場長表彰を2回受賞。その後、地方創生を志し、地方自治体へ転職。とりわけ、モビリティ分野にて、次世代モビリティサービス(自動運転・MaaS・ライドシェア)の導入に関する官民連携プロジェクト、地域交通課題解決のための戦略立案と実証実験の推進に実績を持ち、3年半で、国家プロジェクト6件に採択され、プロジェクトマネージャーとしてそれらの実証実験を成功に導く実績を有する。

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