LeaPath代表の中川です。
今回は、中小企業が成長していくために必要な5つのことについて述べていきます。
本記事は、特に中小企業の社長、役員および管理職の方にご覧いただきたいと思います。
私は、今まで大企業から中小企業まで30社50プロジェクト以上の経営コンサルティングを実施してきました。
その過程で感じたことは、大企業の課題と中小企業の課題は明らかに違うということです。その中で、なぜ中小企業がなかなか成長しにくいのかという共通項について分かってきました。
今回はその共通項と、その解決策について述べていきたいと思います。
中小企業が成長していくために必要な5つのこと
中小企業の成長に必要なことは、大別すると5つです。
①戦略性
②人的資本管理
③柔軟性/外部活用
④ITの積極的活用
⑤企業文化の変革
①戦略性
ひとつめは、戦略性です。中小企業のコンサルティングをしていると、経営理念と現場の技術はあるが、戦略と戦術があまりないことが多いです。
素晴らしい理念や技術を保有されている中小企業はたくさんあります。
しかしながら、内外部情報をもとに経営戦略を立案し、アクションプラン(戦術)にまで落とし込めている中小企業はそう多くありません。いくら良い技術を持っていても認知・拡大できなければ収益はなかなか上がりづらいです。
まず、「戦略」と聞くと、大企業の戦略をイメージされる方も多いと思います。
とある中小企業の社長とお話していたときに、「中小が戦略を作っても、大企業から落ちてきた案件をこなすだけだから意味がない」「うちは経営企画部もないから、担当者がいない」と仰っていました。
確かに一理あります。というのも、世の中の戦略本などを見ていると、「これは中小企業には当てはまらない」というようなフレームワークや事例が多々あるためです。
とはいえ、やはり経営理念と収益性を実現するために市場で勝つ方法(戦略)は重要であり、その戦略次第で、収益性や将来性、および現場の行動も変容していきます。
中小企業が戦略を立案する際に重要な点が2つあります。
1:戦略をきちんと戦術に落とし込むこと
2:中小企業の特徴を生かして戦術を素早く検証していくこと
1:戦略をきちんと戦術に落とし込むこと
方向性を決めたら戦術にまで落とし込むことが重要です。戦術とは、平たく言うと「明日からでも実行できるアクションプランやツールを作ること」です。
戦術まで落とし込まないと、中小企業の場合は特に絵に描いた餅になり、美しい資料(紙切れ)だけが会社に残ることになります。
いかに現実的で実現可能なアクションプランを作ることができるかが大きなカギとなります。
2:中小企業の特徴を生かして戦術を素早く検証していくこと
また、中小企業の場合は規模が小さく小回りが利くため、あらゆる戦術を即座に実行し検証し、改善していくことが大手企業より容易です。
それゆえ、戦略を戦術に落とし込んでいくことが求められます。
経営企画部がない場合は、外部の中小企業診断士などに依頼すると良いでしょう。
しかし、外部に依頼する場合、必ず準備をしてもらいたいことがあります。
それは、外部プロフェッショナルの知識を移転できるための社内人材の準備です。コンサルタントはずっと社内にいるわけではないため、最終的には社内の誰かが、その知識を受け継ぎ、実行していくことが求められます。
そのためにも、中小企業診断士に依頼する際は、実行部分まで支援できる中小企業診断士やチームに頼んでください。
戦略は、立案することが目的ではなく、実行することが目的なので、「戦術にまで落とし込むこと」と「社内の誰かに知見を移転すること」が重要なのです。
戦略について深堀されたい方は、「経営戦略構築手法Vol.1インプット編-現場で本当に使えるフレームワークはこれだ!」および「経営戦略構築手法Vol.2アウトプット編-中小企業の経営戦略のセオリーとは?」という動画をご覧ください。
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また、リーパスには、実行分野まで支援できるプロフェッショナルの人材が多数参画してくれています。是非貴社に合う人材をマッチングリーパスで探してみてください。
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②人的資本管理
一方、戦略を実行するためには、人材のスキルアップやモチベーションアップが欠かせません。
「うちは経営ビジョンをしっかり描いているのに、社員は動いてくれない」と言われる社長もいらっしゃいますが、その時に、私は必ず「人的資本管理はできていますか?社員のモチベーションやスキルをアップさせるための施策は何か取り組まれていますか?」とお伺いします。
それでなくとも、中小企業の場合は少ない人で経営をドライブしていく必要がありますから、人事制度やスキルアップ制度、その他福利厚生など人事領域の改善は戦略・戦術とセットと考えても過言ではありません。
人事制度の作り方について詳細を知りたい方は、「中小企業の人事制度の作り方-5つの体系を押さえると、本格的な人事制度を誰でも作ることができる!」という動画をご覧ください。
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③柔軟性/外部活用
「戦略性」の部分でも述べたように、中小企業は、中小企業診断士などの外部資源をもっと多用すべきだと思います。
当然、中小企業の中にも優秀な方はたくさんいらっしゃいます。ただ、中小企業はどちらかというと血の入れ替えが少ない会社が多いため、スキルや経験がだんだんその会社独自のものになっていく傾向があります。つまり、課題設定や具体的な解決方法については、外部の経験豊富なプロフェッショナルに依頼するケースも必要ということです。
ただ、「外部に頼んでもなかなか結果が出ない」と仰られる方もいますが、コンサルタントの見極めや依頼する側の活用リテラシーも重要です。
そのポイントを5つ書いておきます。
① 求められる情報は出すこと(財務諸表など)
② 依頼する側も、仮説で良いので問題ややりたいことを認識できていること
③ 社長・役員に意思決定力があること
④ なんでもかんでも外部任せにしないこと
⑤ 意見を言えること(言いなりにならないこと)
この5つのポイントを守ることができれば、外部を活用したプロジェクトなどの結果は比較的出やすくなると思います。
④ITの積極的活用
経験上、ITが苦手な中小企業とは沢山出会ってきました。
データ上でも、IT活用の差により売上高や利益率には大きな差があることが分かります。
IT投資には、中小企業の成長を手助けする様々な要素があります。
代表的なところでいうと
1.コスト削減
2.営業力の強化
3.企業間連携の促進
4.新規ビジネスの構築
5.在庫圧縮
6.ノウハウの継承
7.リスク・セキュリティ対応
8.意思決定の迅速化
などが挙げられます。
アナログ施策も極めて重要である一方、IT投資を適切に行っている中小企業は成長している傾向があるため、外部を活用するなどして、実施していくことが、これからの時代は特に求められます。
ITの導入に関してさらに詳しく知りたい方はこちらの動画「基幹システム導入方法」をご覧ください。
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⑤企業文化の変革
上記のような戦略性、人的資本管理、外部活用、IT投資を積極的に推進していくためには、企業文化の変革が欠かせません。
もともと素晴らしい企業文化を持った中小企業ももちろん沢山ありますが、一方で閉塞感がある会社や古い体質の企業文化の会社などがあることは確かです。それらの会社では、何かを推進しようとしても推進するためのエンジンがないため、方針や戦略が砂上の楼閣になってしまうことがあります。
企業文化を変革するための方法論は様々ありますが、中小企業で最も有効だったのは「可視化/見える化」です。
例えば、社長の想いを可視化する、会社の理念・ビジョン・バリューを可視化する、透明性のある評価制度や表彰制度を可視化する、賃金・休暇に独自性を持たせ可視化する、等です。
中小企業は人数が少ないため、良い情報も悪い情報も伝達が早いです。それゆえ、「本当に伝えたいこと」を可視化し、従業員と共有することが、第一歩として重要です。
企業文化の変革方法について詳しく知りたい方は「管理職研修シリーズVol.7 チェンジマネジメント」をご覧ください。
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