LeaPath代表の中川です。
今回は、KPIとKGIの定義の違いや設定方法を解説していきます。
皆さんもKPIやKGIという言葉について聞いたことがあると思います。
KPIやKGIは、経営の目標設定やモニタリングにおいて欠かせない概念であり、多くの企業ではこのKGI・KPIを作って、経営を行っていることと思います。そこで本記事では「KGIとKPIの概念の定義」や、「なぜ中小企業にKGIとKPIが必要なのか?」という理由、そしてそれぞれの設定方法を簡単に説明していきます。
KGIの定義
まず、KGIから説明していきましょう。
KGIとはKey Goal Indicatorの略で、重要目標達成指標のことを言います。
難しい言葉ですが、平たく言うと、経営戦略レベルの会社全体の目標です。
例えば、売上高1億円アップ、成約数20%アップ、利益率10%アップなど、経営として最終的に伸ばすべき目標となります。
KGIは、会社の方針を決める経営者・経営陣が定めることが多いです。
KGIを設定するメリットとしては、
「会社全体で進むべき方向性の共有」や
「失敗を恐れずチャレンジできる文化の醸成」
などが一例として挙げられます。
KPIの定義
次に、KPIです。
KPIとはKey Performance Indicatorの略で、重要業績評価指標のことを言います。
平たく言うと、KGIを達成するための中間指標です。
KPIは、KGIを達成するための過程において達成すべき課題・指標と認識してもらえれば良いと思います。
例えば、売上高100万円アップというKGIとすると、単価100円アップ、数量10,000個アップがこのKPIに当たりますし、さらに分解すると市場シェア1%アップ、さらに分解して市場シェア奪取のための営業回数50回などがKPIとなるイメージです。
つまり、KPIで設定した目標を達成すれば、自ずとKGIも達成できる論理構造を作ることが重要になりますし、KPIを分解すればするほど、解決策の解像度が上がっていく、ということです。
さらに分かりやすくするために、図示化しておきます。
この例でいうと、売上目標がKGI、その売上目標を達成するために必要な各目標が、KPIということになります。
<KGIとKPIの関係性>
KPIは現場を指揮する部課長が定めることが多いです。
KPIを設定するメリットとしては、
「業務内容と数値目標を紐づけることができること」や
「進捗管理や業績のモニタリングができること」、
「人事制度の目標や評価と紐づけることができること」
などが、一例として挙げられます。
なぜ中小企業にKGIとKPIが必要なのか?
しかしながら、私の感覚では、このKGIとKPIを設定している中小企業はそれほど多くないと認識しています。
その理由は、以下の3点であると考えます。
1. 受注生産や下請けが多く、依頼を受けたものをやるというビジネスモデルが多いため
2. KGI・KPI作成の特訓を受けている人材が少ないため(管理職が育っていないため)
3. 管理職も業務が忙しく、KGI・KPI管理をやる暇がないため
1は、実際に私がお仕事として関わってきた中で、とある中小企業の社長が仰っていたことです。
中小企業は受注生産や下請けのビジネスモデルが多く、KGI・KPIを設定しても、結局は取引先の発注件数に左右されるので、設定しても意味がないというものです。
2については、KGI・KPIという言葉を知っていても、実際に経営戦略をもとにして作ることができる人材が少ないというものです。
そして最後に3については、KGI・KPIを管理する時間的余裕がないというものです。
しかしながら、それでもやはり中小企業でのKGI・KPI設定と管理は必要です。
理由として大きく3つあります。
1:様々な外部環境の脅威や状況変化に対応しながら利益を出し続ける仕組みを作る必要があるため
2:「なぜそれをしなければならないのか?」が誰にでも理解でき、実際に必要なアクションを浸透させやすい
3:目標を形骸化させず、社員のモチベーション低下を防ぐため
1:様々な外部環境の脅威や状況変化に対応しながら利益を出し続ける仕組みを作る必要があるため
変化する外部の環境の中で、中小企業においても様々な問題・課題が発生します。
その際、そういった脅威や環境に適応できなければ、利益は出し続けられず、会社は倒産してしまいます。
そういった様々な問題・課題に対して、解決策を導き出し、構造的に管理、実行していく仕組みは会社の持続化にとって重要となります。
2:「なぜそれをしなければならないのか?」が誰にでも理解でき、実際に必要なアクションを浸透させやすい
例えば「1日50件の電話営業をすること」と社員に伝えても、社員としては、「なぜそれをする必要があるのか、なぜ50件なのか」とイメージが湧きづらいです。
これに対して、
100万円×10件=1,000万円の月売上達成
※ここではわかりやすいよう、使える営業方法が電話のみと仮定
0.01(1%)×1000件=10本の月売上数達成
50件×20日=1,000件の月営業架電達成
というようにKGIとKPIによって構造化することで、誰でも「なぜそれをしなければならないのか?」ということがすぐ分かるため、実際に必要なアクションを浸透させやすくすることができます。
3:目標を形骸化させず、社員のモチベーション低下を防ぐため
そしてKGI・KPIが必要である大きな理由として、「目標を形骸化させず、社員のモチベーション低下を防ぐため」という理由があります。
例えば「現場改善」というのはどこの企業にとっても大変重要な要素ですが、この現場においてよく見かける事例としては、現場改善をやることが目的になり、やりっぱなしになっていることです。
それでは、日々の頑張りがどう成果に結びついているのかも分かりませんから、改善目標は形骸化し、かつ社員のモチベーションも下がる恐れがあります。
そのため、日々中小企業でも行っている社員の皆様の“現場の改善”を経営として昇華させ、その改善内容を適切に結果・成果に結びつける仕組みが重要となります。
KGIとKPIの設定方法
それでは実際にKGIとKPIの設定方法について話していきます。
設定方法における詳細は、リーパス内の動画「管理職研修Vol.5 超簡単!KPIの作り方(会員限定有料コンテンツ)」でさらに詳しくお話しているので、そちらも合わせてご参照いただければと思いますが、本記事では簡単に概要をお伝えいたします。
KGIの設定方法のコツは、以下の3つの視点を押さえることです。
1:「社長の想い・理念」
2:「現状の財務状況(管理会計含む)」
3:「外部環境【市況/競合/ビジネスモデル】」
<KGI設定の3つの視点>
この3つを適切に押さえたうえで、情報を構造化すると、本質的に改善すべき目標が浮かび上がってきます。
3つのポイントの視点から情報を整理していくと、指標にすべき候補がいくつも出てきます。
その時に、どの指標を解決すれば多くの課題を解決できるか?という視点で考えると、KGIを設定することができます。
一方、KPIの設定方法のコツは、4つのプロセスを押さえることです。
4つのプロセスとは、以下のプロセスです。
1. KGIに紐づく課題の洗い出しを行う
2. 洗い出した課題を全体俯瞰して課題の偏りや抜け漏れをチェックする
3. 各課題の共通項を抽出し、課題を構造化する
4. 最後に数値目標の設定を行う
<KPI設定の4つのプロセス>
このプロセスをさらに実践的に詳細に動画で解説していますので、理解して実行すればKPIを初めて作る方でも、ほとんどの方は極めてロジカルかつ発想豊かなKPIを作ることができるようになると、今までの経験上確信しています。
「管理職研修Vol.5 超簡単!KPIの作り方のコツ(会員限定有料コンテンツ)」では、実際に数百人の中小企業の管理職にリアルで研修をし、その95%以上の方が実際にKGI・KPIを作ることができるようになった手法を説明した動画になりますので、きっと皆さまのお役に立てるはずです。
KGIとKPIの違いまとめ
では、最後にKGIとKPIの違いをまとめておきます。
KGI | KPI | |
正式名称 | Key Goal Indicatorの略重要目標達成指標 | Key Performance Indicatorの略重要業績評価指標 |
概念 | 経営戦略レベルの会社全体の目標 | KGIを達成するための過程において達成すべき課題・指標 |
一般的に設定する人 | 経営陣 | 部課長レベル |
設定方法 | 3つの視点を重視して設定すると良い | 4つのプロセスを重視して設定すると良い |
設定するメリット例 | 会社全体で進むべき方向性の共有失敗を恐れずチャレンジできる文化の醸成 | 業務内容と数値目標を紐づけることができる進捗管理や業績のモニタリングができる人事制度の目標や評価と紐づけることができる |
いかがでしたでしょうか。今回はKGIとKPIについて説明しました。
経営力を向上させるためには、適切な目標値や指標を決め、それを持続的にモニタリング・改善することが重要になります。
是非、ご参考にいただき、作成していただけると嬉しく思います。
リーパスではKGI・KPI設計の経験豊富な士業が多数在籍しています。ご興味がございましたら、是非お気軽にお問い合わせください。